Mafia III
1968年のアメリカの政治的・社会的課題を背景に、実録犯罪ドラマを描くオープンワールド・アクションアドベンチャー。
説明
Mafia IIIは、1968年のニューオーリンズを模した架空の都市「ニューボルドー」を舞台に、シリーズの方向性をより過酷で政治色の強い物語へと舵を切った作品である。プレイヤーはベトナム帰還兵のリンカーン・クレイとなり、イタリアン・マフィアに裏切られ殺された家族の復讐を果たすために立ち上がる。「実録犯罪ドキュメンタリー」の手法を取り入れたストーリーテリングは、人種差別、汚職、そして復讐といった重厚なテーマを妥協なく描き出し、俳優陣の熱演と当時の時代を象徴するサウンドトラックがその没入感を高めている。ゲームプレイはオープンワールド構造を採用しており、敵のシマを解体し、各地区を占拠して配下のアンダーボスに割り振るという戦略的な支配権の拡大が鍵となる。プレイヤーの決断は登場人物の忠誠心や結末に直接影響を及ぼす。戦闘は重量感のあるTPS形式の銃撃戦、容赦ない近接攻撃、そしてステルス要素を融合させており、ドライブ操作はアーケード的な手軽さとシミュレーションのリアリズムを選択可能である。前作までの緻密に構築された線形的なミッション構成から、本作では完全にオープンワールドかつ地域制圧型のモデルへと大きく変貌を遂げた。ブラックスプロイテーション映画やベトナム戦争映画から着想を得ており、同時代の『Grand Theft Auto V』や『Sleeping Dogs』、『Far Cry』シリーズの拠点制圧システムの影響が色濃い。物語の骨太さと圧倒的な空気感、選曲のセンスは高く評価された一方で、単調なミッションデザインや技術的な課題、グラフィックの粗さが指摘されることもあった。ゲームプレイのループ以上に、その特異な物語と設定の強烈さが際立つ、シリーズ屈指の野心的かつ毀誉褒貶の分かれる一作である。