True Pinball
Amiga時代のピンボールの系譜を32ビット世代に見事に継承した、技術的に洗練されたピンボールシミュレーション。リアルな物理演算へのこだわりと、セガサターンのハイレゾリューション表示を最大限に活用し、物理的なピンボール台の鮮明さを再現した意欲作です。
説明
『True Pinball』は、DICEがAmigaで制作した名作『Pinball Illusions』を家庭用ゲーム機向けに洗練させた作品です。コンソール市場への展開にあたり、リアルな3D環境を強調するためにタイトルが改められました。セガサターン版は、ハードウェアのVDP2チップを駆使して複雑なスクロール処理を行うだけでなく、640×480のハイレゾリューションモードに対応した技術的な快挙といえるタイトルです。この高精細な表示は、当時の32ビット機にありがちな描画の滲みを抑え、情報密度の高いテーブル上でのボールの動きを視認するために不可欠な要素として、サターンユーザーから高く評価されました。
本作には『Law ‘N Justice』(近未来の警察組織)、『Babewatch』(ビーチがテーマのパロディ)、『Extreme Sports』、『Vikings: The Tales』という、それぞれ独自の世界観を持つ4つのテーブルが収録されています。Amiga版の純粋な2D表示とは異なり、本作では伝統的なトップダウンの2D視点と、より没入感のある3D傾斜視点を切り替えることが可能です。さらに、サターンのサウンドチップを活用したRedbookクオリティのサウンドがテーブルの状況に応じてダイナミックに変化し、雰囲気作りに一役買っています。PAL版独自の50Hz最適化も施されていますが、DICEの真骨頂である重厚なメカニカルな挙動は驚くほど一貫して維持されています。
ゲームプレイは、複雑なテーブルレイアウトを習得し、多層的なミッションモードを攻略することに主眼が置かれています。タイトルにある「True(真の)」という言葉は、スピンや運動量、そしてランプやターゲットを連続して撃ち抜くハードルの高い「ウィザードモード」といった、現実のピンボールメカニズムのシミュレーションを追求した結果です。ボールのスピンや摩擦、ランプ上の微妙な挙動を再現した『Pro Pinball』には一歩譲る面もありますが、本作の完成度は非常に高いものです。また、ドットマトリクスディスプレイ上で展開されるアーケードスタイルのミニゲームも、当時の技術力を示すユニークな特徴でした。なお、セガサターン版にはハイスコアを保存するバックアップメモリ機能が搭載されていないという、90年代のゲーム特有の歯痒い仕様が存在します。
現在振り返ってみても『True Pinball』はセガサターンにおける最高峰のピンボール体験の一つであり、『Digital Pinball: Last Gladiators』と並び称される存在です。PlayStation版と同時発売されましたが、2D描画の滑らかさとハイレゾリューションモードによる映像の鮮明さから、現在ではサターン版が好んで選ばれる傾向にあります。Amigaのデモシーンから輩出された伝説的な開発スタジオDICEが、世界のゲーム業界を牽引する技術集団へと成長する過程を示す重要な一作です。
データシート
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