ワンチャイ コネクション
WanChai Connection-
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日本国内のセガサターンローンチ時に発売された、香港のノワールミステリー。3Dでの捜査と実写FMVを融合させた、退廃的な雰囲気が漂う探偵アドベンチャー。
説明
『ワンチャイ コネクション』は、1994年11月のセガサターン日本国内ローンチ時、わずか2本しかない自社ソフトの一つとして歴史に名を刻む異色作です。『バーチャファイター』が話題を独占する中、セガは本作を通じて、サターンがアーケード移植のみならず、映画的な物語体験の器にもなり得ることを証明しようとしました。マイクロネットが開発を手掛けた本作は、返還直前の1997年の香港を舞台にしたノワール調のミステリーです。主人公の私立探偵・マイケル・リーが、湾仔(ワンチャイ)の海岸で記憶喪失の女性が発見されたことを端緒に、殺人事件の深淵へと迫ります。
本作は、実写FMV(フルモーションビデオ)と静止画、そして3D要素を融合させた、初期32ビット機特有の「マルチメディア」体験を象徴するタイトルです。ゲームプレイは、容疑者への尋問や選択肢による会話、そして3D空間を探索して証拠を見つけ出す「捜査モード」が軸となります。当時としては野心的な試みであり、FMVの小窓表示やゆったりとしたテンポは時代を感じさせますが、90年代中盤の日本のクリエイティブシーンで人気を博した、香港の泥臭く都会的な空気感が濃密に表現されています。
技術的な観点で見ると、『ワンチャイ コネクション』はサターンの記憶容量への挑戦でもありました。膨大な映像・音声データを収めるためにディスク2枚組という構成を採用しています。ローンチ時、本体には専用の動画デコードハードウェアが搭載されていなかったため、FMVはすべてソフトウェアによるレンダリングで処理されており、それが画面全体に映像を表示できない要因となりました。しかし、3Dでの捜査パートは、アドベンチャーゲームという枠組みの中でクリーンなテクスチャを描画できるハードの可能性を示しており、『バーチャファイター』のフラットシェーディングとは異なる視覚的な奥行きを提示しました。
日本のセガサターンにとって、本作はまさに「誕生の証明」と言える存在です。当時のセガがいかにして成熟した物語重視のソフトへと舵を切ろうとしていたかを記録する、サターンの黎明期を語る上で欠かせない野心的実験作です。