ターボファイルⅡ
Turbo File IIカートリッジ内のバッテリーバックアップの限界を打破するために設計された、ファミコン専用の外付けメモリ管理デバイス。当時のデータヘビーなタイトルにおける長期的なデータセキュリティを確保する、コンソール向け外部ストレージの先駆的存在。
説明
ターボファイルIIは、ASCIIのオリジナルモデルであるターボファイルの正統進化形であり、標準的なカートリッジのセーブ容量を超えた保存領域を必要とするプレイヤーのための外部SRAMバンクです。メモリカードが普及する以前の時代において、これはファミリーコンピュータ専用の独自ストレージシステムとして君臨しました。固定8KBのSRAMを搭載した初代モデルから飛躍し、II型では32KBの容量を8KBずつ4つのバンクに分割して管理することが可能となりました。これは、多重セーブや続編へのデータ引き継ぎが重要な要素となる、当時の日本のシミュレーションゲームやRPGの需要に応えるために開発されたものです。本体は楔形の特徴的な形状をしており、ファミリーコンピュータ本体前面の15ピン拡張端子、またはシャープ製ツインファミコンの側面端子に直接接続します。
単3電池2本で駆動するバッテリーバックアップ式SRAMを採用しており、前面パネルの4段階スライドスイッチでA、B、C、Dの各バンクを手動で切り替えることができます。この物理的なバンク切り替えは、実質的に4枚のメモリカードを1台のデバイスに集約させるタクタイルなソリューションでした。また、誤消去を防ぐライトプロテクトスイッチを備えるほか、上部には特定のゲームに機能を追加するための独自データROMスロットがあり、例えば『ダービースタリオン』などのゲームにおいて新たな競走馬データを追加するといった活用が可能でした。
ターボファイルIIは、ASCIIのインフラ系タイトルや主要なサードパーティ製タイトルを支えるバックボーンとなりました。特に『ウィザードリィ』シリーズでの活用は有名で、『I』から『III』へ丹念に育てたパーティデータを移行する際、欠かせない存在でした。対応タイトルの例は以下の通りです。
- 『ベストプレープロ野球』:複雑な野球リーグの統計データやカスタムチームの管理。
- 『全国版 ダービースタリオン』:膨大な競走馬データの保存に必須。
- 『提督の決断』:大規模な海戦シミュレーションの進行状況保存。
- 『ダウンタウン熱血物語』:キャラクターのステータスや所持品の保持。
ターボファイルIIはファミコンの15ピン拡張端子に依存した日本独自のエンジニアリングの結晶でした。後にスーパーファミコン用として『ターボファイルアダプター』が登場し、『アーディライトフット』、『ダービースタリオン』シリーズ、『タクティクスオウガ』、『ウィザードリィV』などのタイトルで引き続き活用されました。なお、後期のSFCタイトルでは、より大容量かつ新しい転送モードを備えた『ターボファイルツイン』が必要となるケースもありました。