キング・オブ・ボクシング
The King of Boxingセガサターンの3D描画能力を活かし、スタミナ管理と駆け引きを重視した、技術的かつ戦略的な3Dボクシングシミュレーション。
説明
『キング・オブ・ボクシング』は、セガサターンの初期成長期に登場した本格的な3Dスポーツゲームです。当時のコンソールにおいて、デュアルCPUアーキテクチャの性能を駆使し、16bitハードウェアで見られた擬似的な表現に頼ることなく、滑らかでキャラクター主導のスポーツシミュレーションを実現することを証明した作品です。本作は、シリアスで専門的なトーンと、アーケード格闘ゲームのようなテンポの良いアクセシビリティを両立させた、サターン用ソフトの中でも独自の立ち位置を確立しています。
ゲームの核となるのは、ルーキーから世界チャンピオンを目指す重厚なキャリアモードです。派手な超常的演出を避け、実際の会場照明やリングサイドの細かな描写、キャラクターの挙動に影響を与えるウェイトクラス制を採用し、90年代中盤のボクシングに対する技術的な探求心を忠実に再現しています。トレーニングモードでは、リーチ、パワー、スタミナといったパラメータをカスタマイズでき、プレイヤー自身の戦術に応じたボクサーを育て上げることが可能です。
メカニカルな面では、当時としては画期的な『スタミナとダメージ』エンジンを採用しています。単なる体力ゲージではなく、ダメージの蓄積によりパンチの速度やフットワークの鈍りが変化するため、序盤のスタミナ管理が勝敗を分けます。また、ダウン時やクリンチ時に視点が切り替わるダイナミックカメラは、限られた空間でクリーンなテクスチャ3Dモデルを描画するサターンの能力を最大限に引き出しています。当時の基準でも滑らかなアニメーションは、ローンチ期特有の『カクつき』を克服した大きな進歩でした。
リリース当時、本作はボタン連打を必要としない戦略的で奥深い対戦ツールとして高く評価されました。後の『はじめの一歩』シリーズなどと比較しても、本作が3Dボクシングゲームの確かな礎を築いたことは疑いようがありません。2Dスプライトからフル3Dアスリートへの移行期において、ビクターが誇る職人気質な作り込みが光る一作です。
データシート
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