Phoenix 3
3DOのマルチメディア性能を駆使し、3D宇宙戦闘と2Dサイドスクロールアクションを融合させたハイブリッド型アクション。紛らわしいタイトルとは裏腹に、本作単体で完結するストーリーと、実写俳優を合成した意欲的な映像表現が特徴です。
説明
『Phoenix 3』は、FMV(フルモーションビデオ)黄金期に3DO用ソフトとして発売された、ジャンルの垣根を超えた意欲作です。Studio 3DOがパブリッシャーを務めた本作は、1枚のディスクで複数のゲームプレイを共存させるという、当時のハードの限界に挑んだ技術デモ的な側面も併せ持っていました。タイトルに「3」とありますが、既存シリーズの続編というわけではなく、先進的なテクノロジーや広大な世界観を演出するためのブランディング的なネーミングでした。実写俳優を取り込んだ高品質なデジタルビデオとプリレンダリングされた背景の融合は、シネマティックな体験を追求した90年代中盤の「マルチメディア」ゲームを象徴するスタイルでした。
物語の主人公は、未来の紛争に巻き込まれたパイロット兼冒険家のデレク・フリーマン。プレイヤーは惑星防衛とサバイバルを巡るドラマを追うことになります。3DOのCD-ROMフォーマットの強みであった、実写映像を多用したストーリー展開は、当時の大きな売りでもありました。主人公は宇宙船「タロン」のパイロットとしての戦闘と、地上での白兵戦を切り替えながら、過酷な環境を生き抜いていくことになります。
ゲームプレイは、一人称視点のコックピット型宇宙戦闘と、2Dサイドビューのアクションという二つの異なるモードで構成されています。宇宙パートはフライトシミュレーター的な挙動で、敵機との戦闘やシールド管理が重要となります。このパートは3DO専用のフライトスティックProにも対応しており、高い没入感を味わえました。一方、地上パートではサイドスクロール型のアクションへと視点が切り替わり、武器と俊敏なアクションを駆使してステージを攻略していきます。このシミュレーションとアーケードアクションの融合は、3DOの多才さをアピールする狙いがありましたが、プレイヤーには全く異なる二つの操作体系を習得する器用さが求められました。
発売当時、『Phoenix 3』は野心的でソリッドな作品である一方、当時のCD-ROMコンソール特有の「あれもこれも詰め込んだ」感が否めない仕上がりと評価されました。各ジャンル単体のタイトルほどの深みはないという声もありましたが、振り返ってみると、本作はまさに3DOというハードを象徴する一本です。リアルタイム3Dポリゴンが普及する直前、ハリウッド的な映像美とゲームメカニクスを融合させようと試行錯誤した、90年代の実験的な時代を映し出す貴重な遺産と言えるでしょう。