リアルサウンド 風のリグレット
Real Sound Kaze no Regret飯野賢治率いるワープが開発した、音声で楽しむアドベンチャーゲーム。視覚障がいの有無に関わらず体験を共有できるよう、映像を排した音響重視の設計を採用。インタラクティブなラジオドラマのように物語が進行する、ゲームの定義を問い直した実験作。
説明
『リアルサウンド 風のリグレット』は、飯野賢治率いるワープが手がけた、音声のみで進行する極めて独創的なアドベンチャーゲームである。視覚障がいの有無に関わらず、すべてのプレイヤーが同じ体験を共有できるようにという理念のもと制作された本作は、画面の大部分を暗転させ、対話と音楽、そして緻密なサウンドデザインだけで物語を紡ぎ出す。飯野のもとに届いた視覚障がい者のファンからの手紙が着想の原点となっており、あえて視覚情報を排除することで、音響空間を通じた新たな物語体験を提示した。後のドリームキャスト版では静止画によるビジュアルモードも実装されたが、物語の本質はあくまで聴覚情報に集約されている。
脚本は坂元裕二が担当し、幼馴染である野々村博司と和泉沙良の複雑な関係性を軸に物語が展開する。プレイヤーは、インタラクティブなラジオドラマのように物語の要所で鳴るチャイムを合図に選択肢を選び、シナリオを分岐させていく。主演には柏原崇、篠原涼子といった当時の人気俳優を起用。音楽は鈴木慶一が手がけ、飯野自身も制作に参加した。また、臨場感を極限まで追求するため、バイノーラル録音技術(ダミーヘッドマイク)を全面的に採用しており、ヘッドフォンを通すことで聴覚の三次元空間が広がる設計となっている。
本作の特異性はパッケージにも現れている。一般的な説明書は同梱されず、雲の写真をあしらったカードや、点字で記された説明書、そしてハーブの種が同梱されるなど、作品の思想を具現化した付属品が大きな話題を呼んだ。当時のコンシューマーゲームとしては異例の試みであり、今日のアクセシビリティの概念を先取りした先駆的プロジェクトとして、今なお語り継がれるべき孤高の傑作である。
データシート
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